開発日誌 (~2012年)
# ワセリンの人気
(2009-01-24 07:50:44)
ヴィクトリア女王も愛したワセリン
はじめはまったく売れなかったワセリンですが、ユニークな販売方法を採用し瞬く間にワセリンを普及させます。
「ガマの油売り」商法
チーズブローは「チーズブロー製造会社」(Chesebrough Manufacturing Company)を設立し、ワセリンの量産化を実現します。
しかし、それまでになかったタイプのスキンケア商品ですのではじめはまったく売れません。
そこで彼が採用した販売方法が、路上で自らの手や体を傷つけたり炎で焼いたりしてワセリンで治癒する実演販売でした。
日本の「ガマの油売り」と同じ方法ですね。
ユニリーバ社による買収
チーズブロー社は発展を遂げます。
チーズブロー社はその後、ポンズ・クリーム(Pond's Cream、Pond's Vanishing Cream、Pond's Cold Cream)で有名なポンズ社と合併し、その後ユニリーバ社に買収されて現在に至っています。
ヴィクトリア女王
チーズブローはワセリンの発明及び販売普及の功績により、1883年、英国ナイトの称号を授与されます。
授与式において当時の英国国王・ヴィクトリア女王は「私も毎日ワセリンを使っています」(used Vaseline every day)と言って、チーズブローとワセリンを褒め称えました。
万能薬として愛されたワセリン
ワセリンは米国を中心に世界中に販路を拡大し、世界中の人々のスキンケアの万能薬として愛されるようになりました。
現在科学ではワセリンは万能薬ではないことが判明しています。
それどころか、むしろ「薬効ゼロ」。
しかし、ワセリンは皮膚自身の治癒力を引き出す物質として、現在でも世界の皮膚科でもっとも大量に処方される薬の一つです。
開発日誌 (~2012年)
# ワセリンの発明
(2009-01-24 07:50:43)
時代はクジラから石油へ
1837年ロンドンで生まれのロバート・チーズブロー氏は化学者でありワセリンの発明者。
ペンシルベニア州タイタスヴィル油田
ロバート・チーズブローはそれまでクジラから灯油(ケロシン)を採取する仕事をしていましたが、油田の発見と石油の普及で職を失います。
そこで自分を無職に追い込んだ石油を調査するために、米国初の油田であるペンシルベニア州タイタスヴィルに行きます。
真空蒸留法
そこで目にしたものは危険な採掘現場で労働者たちはロッドワックスを傷の治療薬・薬代わりに利用していた光景です。
ロッドワックスのサンプルを採取し、実験室に戻り、苦労の末、ロッドワックスの精製に成功します。
その際、生み出された技術が真空蒸留法という精製方法でした。
ワセリンの特許取得
この結果生まれた物質(ワセリン)は半固形でやや黄色味を帯びた物質でした。
彼はこの蒸留法に対して特許を申請し、その中で「ヴァセリン」(Vaseline)という言葉がはじめて使用されました。
1872年に特許は成立しました (U.S. Patent 127,568)。
「ヴァセリン」(「ワセリン」は日本におけるヴァセリンの派生用語)は現在でも商標ですが、世界中であまりにも使用されたため一部の国で普通名詞化しています。
ワセリンはチーズブローの造語でドイツ語の「水(wasser)」とギリシア語の「オイル」の意味と考えられています。
開発日誌 (~2012年)
# ワセリンの歴史
(2009-01-24 07:50:42)
油田から生まれたワセリン
ワセリンは100%石油由来。
ワセリンの歴史は1859年、米国初の油田であるペンシルベニア州の油田(Titusville タイタスビル)にて始まります。
石油採掘機や油田掘削機(OIL-RIGS)のポンプやロッドに付着するベタベタのワックス(ロッドワックス)が後にワセリンとして分離されるようになります。
厄介者だったロッドワックス
労働者たちはこのドロドロとした、パラフィンのような半固形状の物質を「ロッドワックス」(ROD WAX)と呼んでいました。
黒いドロドロのロッドワックスはベタベタで掘削機を壊したり誤動作させる厄介者でした。
石油採掘現場は危険な場所でケガも絶えませんでした。
しかし、労働者たちはそのワックスを切り傷や擦り傷などの軟膏として使うと傷の修復が早く、治療薬として効果があることを経験的に知っていました。
厄介者を富に変える
若き化学者ロバート・チーズブロー氏はロッドワックスを不純物を取り除き精製を行い、純度の高いワックスを得ました。
これが人類初の工業的に精製されたワセリン(petroleum jelly)です。
彼は商品名として「Vaseline(ヴァセリン)」と命名しました。
チーズブロー氏はワセリンがスキンケアとしてきわめて効果的な治癒作用があるこを発見したのです。
(現在ではワセリンには「薬効はないが、人間の皮膚の自然治癒力を引き出す」とされる)。
彼は1870年に Vaseline工場を建設し、スキンケア商品の量産化に成功しました。
開発日誌 (~2012年)
「ワセリンのお勉強」ブログの始まり
(2009-01-24 07:50:41)
なぜ「ワセリンのお勉強」?
ベタガードを販売する過程で多くのお客様にワセリンに対する誤解や「鉱物油だから心配」といったような心配や不安があることがわかりました。
ワセリンに関して、明らかにおかしな情報が発信されているサイトが散見されることも開設の動機です。
顔とワセリン
ワセリンに関し、お客様の心配で「顔にワセリン付けてもいいの?」という疑問は非常に多いようです。
顔に付ければ、シミになる・油焼けする・日焼けする・アレルギーになる・かぶれる・湿疹が出る・皮膚呼吸できない・・・などの心配が寄せられています。
ワセリンは顔に付けても、おおむね安全ですし、問題ありません。
「おおむね安全」と言う理由は医薬品・化粧品で「絶対に安全」はないからです。
実際問題として、医薬品・化粧品成分の中でワセリンが問題になるレベルなら、問題にならない成分は逆に探す方が困難でしょう。
ワセリンによるトラブル事例・副作用事例は驚くほど少ない。
だからこそ、皮膚科の医薬成分や軟膏剤の基剤として採用されています。
開発日誌 (~2012年)
(2008年~2012年)ベタガード開発時のメモ・記録
(2009-01-24 07:50:40)
このブログは2008年からはじまったベタガードの開発や試作、お客様へ試作品の配布などを通して、記録したメモや勉強したことをランダムに残しています。