ワセリン物語

ワセリンを勉強するブログ

(12)ワセリンの白色と黄色

不純物が含まれていた初期のワセリン



ワセリンは原油を精製して製造されます。

1800年代、ワセリンがはじめて商用利用された頃は、精製技術も現在ほど洗練されておらず、純粋な炭化水素ではなく硫黄など若干の不純物を含むワセリンが主流でした。


ワセリンの不純物


不純物の種類・含有量は、採取される油田によって、かなり差があります。

たとえば、硫黄や硫化水素は原油の代表的な不純物ですが、これらの量によって「スイート原油」「サワー原油」と分けられ、原油の価格も大きく違います。

【原油の段階の不純物の種類】
・水・土砂・金属

【石油やワセリンの段階の不純物の種類】
・硫黄化合物(0.1-3%)
・酸素化合物(0.1-1%)
・窒素化合物(0.1-1%)
・金属化合物(0.001-0.1%)
・ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素
・不飽和炭化水素(アルケン・アルキン)


硫黄や窒素は、大気汚染の原因


1970年代、日本列島は自動車や工場から排出される排ガス・汚染物質が社会問題となりました。大気汚染の代表的な汚染物質は次の2成分:

・硫黄酸化物(SOx)
・窒素酸化物(NOx)

これらは石油の燃焼によって生じます。しかし、本来純度の高い石油ならSOxやNOxは発生しません。

石油に含まれる硫黄化合物や窒素化合物が、亜硫酸ガス(SO2)をはじめとする有害なSOxとなったり、一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO2)などのNOxとなり、光化学スモッグの原因となります。

現在の日本では、1970年代のような光化学スモッグは少なくなりました。その理由は、石油精製技術が進歩したことが大きな要因です。


別の不純物「アルケン」「アルキン」


メタンやエタンなどの炭化水素は、総称して「アルカン」(CnH2n+2)と呼ばれます。宇宙に存在するもっとも基本的な有機物成分であり、有機物の原点とです。

また、アルカンは原油のもっとも重要な要素です。
(ただし、動物やヒトの生体内では純粋な炭化水素はほとんど存在していません)


アルカンは、分子構造自体、安定していますが、水素分子を失った構造体になることがあります。

それら炭化水素が「アルケン」(CnH2n、二重結合)や「アルキン」(CnH2n−2、三重結合)と呼称されます。

ワセリンは、ほぼアルカンで構成されていますが、石油分留の課程でアルケンやアルキンが生成される場合があります。

これらはワセリンにとって不純物と見なされます。


黄色ワセリンとは?


1990年以前のワセリンは不純物が多く「黄色ワセリン」と呼ばれます。もちろん「黄色」とは、その色から命名されました。

黄色ワセリンは、白色ワセリンよりも若干不純物を含む割合が高く、それらがアレルギーや刺激の原因になります。

現在のワセリンは「白色ワセリン」と呼ばれます。

黄色ワセリンは、一般消費者の目に触れることは多くありませんが、安価に製造できるため、工業用途に未だ生産されています。


現在ではワセリン = 白色ワセリン


現在ワセリンと言えば、通常白色ワセリンを差します。

化粧品や医薬品に使用されるワセリンは、とくに特別な目的や意図がない限り、白色ワセリンが使用されます。

また、市販されているワセリンや化粧品・医薬品も、通常は白色ワセリンが使用されています。

このようにワセリンといえば、現在では通常「白色ワセリン」を指します。

白色ワセリンは、経時安定性に優れ、紫外線や酸化による変色が少ないなどの特徴を持っています。


白色以上の純度のワセリン


現在の精製技術では、さらに進化して白色ワセリン以上の純度が実現されるようになりました。

白色ワセリンは、医薬品の規格基準を定めた日本薬局方の基準が満たされたものを指しますが、技術的には基準以上のワセリンを製造することも可能です。

これらの高純度ワセリンも、医薬品の分類からすれば白色ワセリンに分類されますが、実質的に白色ワセリン以上の純白ワセリン純粋ワセリンと呼ばれてもよいレベルにあります。


日本で販売され広く流通している高純度ワセリンにはサンホワイト(日興リカ株式会社)があります。

サンホワイトは、白色ワセリンよりもさらに、経時安定性に優れ、紫外線や酸化による変色が少ないという特徴を持っています。

メーカーが規定する使用期限は別として、実質的な使用期限も非常に長く通常数年程度では劣化しません


どこまで高い純度のワセリンを使用した方が良いか?


黄色ワセリンしかなかったころは、若干のトラブルがありましたが、白色ワセリンでは副作用の事例は大変少なくって来ています。

現在、医薬品レベルのワセリンには日本薬局方が規定する白色ワセリンで問題ないとされています。

しかし、カラダのとくに敏感な部位、たとえば目の粘膜などには、白色ワセリン以上の高純度ワセリンが使用されることがあります。

またアトピーなどでお肌が極めて敏感になっている方には、白色ワセリン以上の高純度ワセリンの使用が適している場合があります。
(2017-07-17)
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