(25)マイクロクリスタリンワックス

マイクロクリスタリンワックス


ワセリンの仲間、マイクロクリスタリンワックス(Microcrystalline wax)について解説します。

マイクロクリスタリンワックスもワセリン同様、石油の精製から生まれる炭化水素です。この成分も化粧品の原料としてよく使用されます。

ワセリンと同じく、純粋な炭化水素ですが、炭素数が30-70程度とワセリンより大きめ分子ですので、融点もワセリンより高くなっています(70-100度)。


医薬品に石油由来の物質が使用される理由


ワセリンの仲間に、パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスがあります。

すべて石油から精製されるワックス状の炭化水素です。ワックスの定義が厳密ではありませんが、一般的には、常温で固体または半固形の炭化水素類を差します。

ワックスには、ハチの巣から採取されるミツロウのように動物や植物由来のワックスもありますが、工業的に利用されるワックスは主に石油由来です。

安定供給が可能で、品質が同一であること、純度が優れているためです。

たとえば、医薬品や化粧品に配合されるワックス類は、純度の高さ・品質安定性から、ほぼ石油系ワックスです。医薬品に限れば、世界的にほぼ100%が石油系ワックスが採用されていると考えられます。


JISで規定される3種類のワックス


石油系ワックスは、日本工業規格(JIS K2235)では次の3種類に大別されます:

・パラフィンワックス・・・主に鎖状炭化水素(ノルマルパラフィン)

・マイクロクリスタリンワックス・・・パラフィンワックスの他に分岐炭化水素(イソパラフィン)や飽和環状炭化水素(シクロパラフィン)を多く含む。原油の減圧蒸留の蒸留物から採取される微結晶状のワックス

・ペトロラタム(ワセリン)

※ペトロラタムとは、ワセリンの別称です。「ワセリン」は本来商標であるため、普通名詞としては米国では「Petrolatum」(ペトロラタム、ペトロリータム)が使用されますが、日本ではワセリンという言葉が一般的です。

マイクロクリスタリンワックスも化粧品原料として使用されますが、ワセリンより固めのテクスチャを出したいときなどに利用されます。


ケミカルなイメージだが安全な物質


昨今、石油由来(鉱物油)の物質で、ケミカルなイメージがある成分は、なにかと嫌われがちです。

たとえば、「トコフェロール」。ケミカルな印象ですが「ビタミンE」と呼べば印象も変化します。「L-アスコルビン酸」と呼べばケミカルなイメージですが、これは「ビタミンC」の化学的な呼称です。

この記事のテーマは「マイクロクリスタリンワックス」。ケミカルな印象で「危ないモノでは?」と疑いたくなる名称です。

英語では、microcrystalline wax。意味は、「微細クリスタルのようなワックス」でしょうか。

分子組成として、パラフィン類・イソパラフィン類(分岐炭化水素)・シクロパラフィン類(飽和環状炭化水素)を多く含んでいる微結晶性のワックスです。

クリスタル状の炭化水素をと理解するとケミカルな印象も和らぐかもしれません。

マイクロクリスタリンワックスも化粧品や医薬品に使用されますが、一般に固く使いにくいためワセリンやパラフィンに比較すると使用される頻度は多くないようです。

マイクロクリスタリンワックスは、タイヤやゴム製品の耐久性を高めるための配合物として需要があります。


  • (2017-07-19)
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